闘病日記舌癌治療まとめ

舌癌で舌を半分切除したあと、モノを飲み込めるようになるまで。

舌を切り取る手術をした後、今まで何も考えずにできていたのにできなくなるのがモノを飲み込むということとしゃべるということ。

これができるようになるまでが大変である。




私の場合、術後2日間は吐き気がひどく、ずっと絶食状態でリハビリも出来できなかった。

術後3日目から舌のリハビリははじまった。




(リハビリ内容)

・口を開ける

・舌を動かす(前に出す、右に動かす、左に動かす)

・発音する(カ行、ガ行が嚥下に必要な筋肉を鍛えられると言っていた)




初日は舌は全く動かず、また舌を縫った糸の端が喉や上顎に当たって痛い。

リハビリ開始から3日間は上記をメインに、嚥下のリハビリとしてネットで調べた下記のメニューも1日3回繰り返した。

(自主的に追加したリハビリ内容)

・口をすぼめた状態で深呼吸をする

・頬を膨らます、すぼめるを繰り返す

・舌先を上げないようにしつつ、舌を手前にひっこめて10秒キープ

・「パ」「タ」「カ」を大きくを口をあけて発音する。

・喉で飲み込む動作(ゴクンとする)を可能な範囲でなるべく早く連続10回繰り返す

あと発音のリハビリもとりあえず五十音(濁音、半濁音なども含む)をすべて発音するというのもやった。




術後4〜5日目(リハビリ開始から2〜3日目)くらいから、水をゴクゴク飲みたいという欲求がすごく強く、嚥下の練習は自主的にも特にがんばった。

術後6日目に嚥下のテスト(どの程度飲み込めるか色のついた水を飲み込む)があったので、5日目の夜、6日目の朝には唾を飲み込んでみるというのも何度も試してみた。

結果は半分くらい飲み込めたので、以降リハビリとして水やゼリーを飲み込む練習が開始した。




6日目のリハビリでは水はむせることもあるが、口に入れたうちの半分くらいを飲みこめて、ゼリーは全く飲み込むことが出来なかった。

その後も個人的に水で飲み込む練習を繰り返した。

最終的にコップで水を口に普通に流し込み、ゴクゴクと連続して飲むことでうまくいった。リハビリでは少量を口に入れて練習していたのでうまくいかなかったのだ。

ただ多めに量の水を口に入れるのはうまく飲み込めず気管の方に行ったり、盛大にむせるかもという恐怖があった。

繰り返すことでその恐怖心をぬぐい、成功する回数が増えていった。




術後7日目は、水のゴクゴクをリハビリの先生に披露。ゼリーで練習することになった。ゼリーは2種類。一つは普通のスプーンで掬うタイプのもの。もう一つはウイダーインゼリーのようなパックに入ったもの。

ウイダーインゼリータイプのものは手で絞り出すことで、口の中にどんどんゼリーが入ってくるので、水を飲む要領でゴクゴクと飲み込むことができた。

ただスプーンで掬うタイプ、スプーンで口に入れてもうまく奥に持っていけなかったり、口の中のどこにあるかわからなくなったりで飲み込めなかった。

リハビリの先生のアドバイスで、吸って喉元に持ってくるといいと教えてもらい、毎食時練習用にゼリーを出してくれることになった。

(他の人が食事を食べている中、鼻から栄養を流されている状態だったので、ゼリー一つとはいえ出てくるのは嬉しかった。)




晩ごはんのゼリーで吸って食べるというのを練習。

最終的にある程度うまくできるようになった。

イメージは「イ」の口で口から空気を吸い込むと頬と歯の間あたりを空気が流れる。そのイメージで少し歯を開き、ちょっと舌を動かしたりして舌の奥の方、ちょうど飲み込める位置に水(やゼリー)を持っていき飲み込む。

うまくできるようになったとはいえ、口や舌を動かすのに疲れ果てて、ゼリーは3/4しか食べられなかった。




術後8日目の朝、再びゼリーに挑戦。昨晩同様に食べて40分かけて4/5を食べて力尽きた。

リハビリの先生の計らいで昼は3分菜食にチャレンジ。お吸い物以外全く食べられなかった。

夜はミキサー食。ゼリーの要領で吸ってなんとか食べられる。1時間半かけて、半分を食べることができた。

ここからはとにかく実際に食べて慣れていくという繰り返し。

ミキサー食を繰り返すことで、吸って喉元に持ってくるというのは問題なくできるようになった。この食べ方の難点は空気も一緒に飲み込んでしまい、盛大にゲップが出ることだが。




術後10日目、再び3分菜食に挑戦。ミキサー食で繰り返し吸う練習をしてきたことで、おかゆなどに混ぜたり、工夫しながらなんとか食べられるようになった。先生が口から栄養を取れると判断、経鼻カテーテルを抜去。

ここからは毎食3分菜食が出ることになった。

次は噛む練習。未だに練習用のゼリーはついていて、今まではスプーンで細かくし、それを口に運んでいたのだが、少し塊の状態で口に入れて、噛んで細かくする練習をした。

3分菜食も肉(元から細かいが)など少し堅いものを歯で噛むことを意識して食べた。

はじめは少し噛むだけでもコメカミがすぐに痛くなった。

何度も繰り返すうちにちょっとずつ痛くなるまでの時間が伸びていった。




術後13日目の昼ご飯。リハビリの先生の計らいで5分菜食を少しカットしたものがでた。

豚肉はほぼ食べられなかったが、野菜など他のものはなんとか食べられた。

それを受けて、晩ごはんから5分菜食に変わった。


(退院後追記)

術後18日目の退院の日までは同じ5分菜食を一口大にカットしたものが続いた。

退院後も病院の食事を参考に、おかゆや細かくした食べ物を食べていた。

食べやすいのは、野菜だとクタクタになったホウレンソウ、すりおろした山芋、細かくした里芋。まあ食べられるのは白菜、タマネギ、ニンジン、ダイコン、ブロッコリーなどを柔らかく煮たもの。

魚は細かくなりやすいが飲み込みにくく、おかゆと一緒に食べたり、細かくしたものにすりおろした山芋をかけたり、少し水分やとろみがつくと食べられる。

肉も全般食べにくいが、順番としては豚肉が一番食べにくく、次いで牛肉、鶏肉である。

煮込みハンバーグは粗挽きでなければ食べられる。

ササミや柔らかい鶏肉は魚と同じく、細かくはしやすく飲み込みにくい感じで、おかゆなどと食べられる。




退院後もちょっとずつ、飲み込めるものが増えたり、噛みやすくなってきて、退院後9日目には、柔らかめのごはんにすりおろした山芋と細かくしたマグロをのせたどんぶりは食べられるまでになった。




(退院後1か月追記)

まだまだ普通には食事はできないが、徐々に食べられるものは増えてきている。

コンビニの肉まんを食べられるようになった。

麺類はすするのが難しくハードルが高かったが、つい先日とろろそば(温かいスープ)を食べることができた。

一番困難なのは上あごに食べ物がひっついてしまったときで、いまのところ舌でそれを取ることができないのでスプーンや指でとるしかなくなってしまう。



発音に関しては「タ行」、「ラ行」がやはり不自由に感じる。

おさるのジョージが好きな息子と話をしていて、「クリントさんとクイントさんは別の人だよ」と言ったが「リ」と「イ」の違いが伝わらなかった。


(12/15、手術後2か月追記)

食べられるものはさらに増えてきた。

柔らかいヒレカツ、ラーメン、牛肉のしゃぶしゃぶなどは食べられる。

ごはんも柔らかめに炊いたものなら、そのまま食べられる。


食べられない、食べにくいものはスジの残るもの。

肉のスジ、マグロのスジ、水菜など野菜にスジ。

口の水分を奪われるものも上顎について、食べにくい。(飲み物と一緒なら大丈夫)


逆に食べやすいものは、噛み切りやすいもの。


外科手術による影響ではないが、放射線障害の影響で、この1週間くらいは水などサラサラの液体の嚥下がしにくい。

これは一時的なものだと思うので、放射線治療が終わると落ち着いてくると思われる。


発音に関しては、自分ではやはり舌足らずな感じで不自由を感じる。

「タ行」、「ラ行」はやはり発音しにくいが、1か月前よりは上手く発音できる。

今一番難しいのは「ぎゃ」「ぎゅ」「ぎょ」や「ちゃ」「ちゅ」「ちょ」、「りゃ」、「りゅ」、「りょ」などちいさな「や」「ゆ」「よ」が入るもの。

「漁業」や「車両」など連続になると全く上手く発音できない。

どこまで回復できるかわからないが、仕事再開までに、少しでも発音も回復させたい。

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