初めての田植えは“泥んこ体験”
5月10日の日曜日、滋賀県高島市の棚田へ子どもと一緒に田植えに行ってきました。
車の中で子どもは「泥の中に入るのはイヤ」と言っていて、初めての田植えにあまり前向きではありませんでした。
棚田に着くと、そこはまだ水を入れ始めたばかりで、水が張られた田んぼではなく、硬めの泥が広がっていました。
これから田植えが始まる前の、素朴で力強い棚田の姿でした。
始めは植えるための苗を畦から田んぼの中に投げ込みます。
子どもは楽しそうに投げていました。
いざ田んぼの中に入る段になると、子どもは足を止めて「入りたくない」とためらっていました。
「終わったら洗ってあげるし大丈夫」「ヌルッとして面白いよ」などを声をかけました。
足を入れようとしては引っ込め、また挑戦しては止まり、まさに“初めての壁”に向き合っているようでした。
それでも勇気を出して泥の中に足を入れた瞬間、ぐにゅっとした感触に驚いて固まっていましたが、しばらくすると少しずつ歩けるようになり、やがて泥の中をスイスイ進めるようになりました。
気づけば、苗を植えたのは2〜3個だけで、あとはずっと泥の中を歩き回って楽しんでいました。
子どもにとっては田植えよりも“泥んこ体験”の方が魅力的だったようです。
田んぼには小さなオタマジャクシや水生昆虫がいて、子どもはそれを見つけるたびに「見て!ちっちゃいオタマジャクシ!」と目を輝かせていました。
自然の中では興味がどんどん移り変わり、その自由さが子どもの成長を感じさせてくれました。
作業が終わったあと、少し高い場所まで登って棚田を見下ろしました。水が入りきっていない田んぼが段々に並び、土の色と山の緑が混ざり合う素朴で美しい景色が広がっていました。
子どもは「さっき歩いた田んぼ、あそこかな」と指をさしながら静かに眺めていました。

帰り道には、地元で人気の鳥中に立ち寄ってお土産に「とんちゃん」を購入しました。袋から漂う匂いが美味しそうでした。
その後は比良とぴあに寄ってお風呂に入り、泥んこになった体をきれいに洗い流しました。
温かいお湯に浸かった瞬間、子どもは「あったかい」と幸せそうな声を出していて、今日の冒険の疲れがすっと溶けていくようでした。
初めての田植えは、不安、勇気、発見、泥んこ、生き物、棚田の景色、とんちゃん、温泉。そんなたくさんの“初めて”と“楽しい”が詰まった、かけがえのない1日になりました。
予定通りに苗を植えなくても、子どもが自分のペースで自然と向き合った時間こそ、本当の田植え体験だったのだと思います。