(京都|上賀茂神社)広い芝生と清らかな水が流れる境内
上賀茂神社(世界文化遺産)の参拝に行ってきた。
上賀茂神社は正式には加茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)といい、加茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)が祭神である。
厄除け、開運、雷除け、必勝などなどいろいろなご利益がえられる。
加茂別雷大神は矢を拾った加茂玉依比売命(かもたまよりひめのみこと)が産んだ子だという。
「山城国風土記 逸文」と「賀茂旧記」によると、昔、山背国に移り住んだ加茂一族の姫である加茂玉依比売命が賀茂川で身を清めていると矢が流れてきた。
その矢を持ち帰ったら、加茂玉依比売命は懐妊して産まれたのが加茂別雷大神なのだということである。
さらに話は続き、葵祭の原点がでてくる。
加茂別雷大神は、その後、雷鳴とともに天に帰ってしまうが、加茂玉依比売命が再び息子に会いたいと願っていると、夢枕に息子が現れ「各吾に逢はむとするに、天羽衣・天羽裳を造り、火を炬き、鉾を擎げて待て。 又、走馬を餝り、奥山の賢木を取り、阿礼を立て、種々の綵色を悉せ、 又、葵・楓の蘰を造り、厳かに餝りて待て。 吾、将に来たらむ」と言ったそうだ。
それに従って神迎の祭りをしたところ、天より神山に降臨されたという。
この神迎の祭りが今日の葵祭である。
簡単にその部分の原文ものせておく→(上賀茂神社の神話)
さて参拝の話へと戻して、一の鳥居をくぐると広い芝生があらわれる。
写真は二の鳥居のほうから撮影したもの。
一の鳥居から入って、この芝生の広場の右手に大きな木が見えている。
有名な斎王桜である。向こう側には御所桜もみえている。
いまは青々と力強く茂っていた。
少し参道を進むと、御所桜の奥には外幣殿がある。
御所屋とも呼ばれ、重要文化財だ。
また参道と左手には神馬舎が見えてくる。
神馬は神様が騎乗する乗り物で、上賀茂神社では白馬が務める。
現在は戦後7代目となる「神山号」。
以前は競走馬としても活躍していたそうだ。
見られるかなと思って覗いてみると、中は空っぽ。
横にこんな張り紙が。
連日の暑さで、夏休みなのだそうだ。
なんかかわいい。
応援の気持ちを込めて前の箱に心持ちをいれさせてもらった。
ここまでくると二の鳥居は目前。
二の鳥居をくぐると右手に見える楽屋。
おみくじが置いてあるが、これも重要文化財である。
二の鳥居をくぐってほぼ正面には立砂と細殿がある。
細殿には酉年だからだろう、酉の絵が掲げてあった。
立砂は神が降臨する場所であり、加茂別雷大神が降臨した山を模したものなのだそうだ。
そう思ってみると、なんだか神々しい。
右手に進んでいくと手水舎がある。
勢いよく水がでており、ここで身を清める。
その横には川の上に建つ、橋殿がある。
常に下を水が流れており、穢れのない場所である。
重要文化財で、神事も行われている。
境内にはいろいろと社もあるが、まずは本殿へと向かう。
楼門はいま式年遷宮の檜皮屋根葦替工事中で見られなかった。
工事中の楼門をくぐると本殿だが、今は「第42回 京の夏の旅 上賀茂神社本殿・権殿特別公開」というのをしていた。
工事中の檜皮屋根も見られたりするようだ。
今回は時間もなかったためパス。
本殿(国宝)のお参りだけなら、そのまま奥へと進める。
本殿を参拝した後は、楼門をでて左へ進んでいくと、伊勢神宮遙拝所や新宮神社、山尾神社がある。中には入れず、表から参拝させてもらった。
道を戻っていき、片岡橋(重要文化財)を渡ると片岡御子神社がある。
縁結びや子宝、家族円満などで有名な社である。
鈴の音がシャンシャンと涼やかだった。
川の横の道沿いを下っていくと、途中にもいくつか社があり、橋殿の横も通って、さらに下っていく。
暑すぎたため、このあたりはあまりゆっくり見ていない。
紫式部の歌碑もあったが、写真だけ取って素通りした。
あとで調べてみたところ、紫式部も縁結びのために通っていたという話があるようだ。
歌碑の歌は
「ほととぎす 声まつほどは 片岡の もりのしづくに 立ちやぬれまし」
である。
意味は「ホトトギスの声を待ちわびている間は、片岡の森の雫に立ち濡れてみようかな」といったところか。
ホトトギスの声を待ちわびるというのは、片岡の社が縁結びであることを考えると、恋人を待つという意味だろう。森の雫は涙なのかとも思ったが、それにしては春のやわらかさと森のすがすがしさが漂う句である。
和歌の素養はないため解釈は正直よくわからないけど、やわらかな春の日に、縁結びの社を詣でて、恋人を待つウキウキ感は伝わってくる歌だと思った。
さらに道を進んでいくと二葉姫稲荷がある。
ここは少し空気感が違うなと思ったら、かつては神宮寺というお寺だったところで、廃仏毀釈や神仏分離でこの神社だけが残ったのだとか。
上っていくとここにもいくつか社があった。
順番に八嶋龍神の社、天之斑駒神社、金毘羅宮、二葉姫稲荷の社である。
少し高台になっていて風が心地よかったので、ここで少し休ませてもらった。
このあとはご朱印をいただき、二の鳥居から出て奈良鳥居のほうへ。
奈良神社や庁屋(重要文化財)をみて、ならの小川沿いにある山森社、梶田社などの前を通りつつ上賀茂神社をあとにした。
途中、ならの小川で遊ぶ子供たちが気持ちよさそうで、うらやましかった。
時間:二の鳥居内 、楼門内は閉門時間あり
休み:なし
料金:なし (特別拝観は料金必要)
アクセス:市バス「上賀茂神社前」から徒歩3分、「上賀茂御薗橋」から徒歩5分
地下鉄「北山駅」から徒歩25分