術後2日目
6時ごろ朝の点滴。
空も少し明るくなっていて、眠れなかったが夜が終わったんだなと実感する。
そういえば吐き気は落ち着いたような気がする。
朝の検温で熱がけっこう高いと言われた。
何度だったのかはわからないが。
先生に解熱剤の処方を頼んでみるとのことだった。
昨日、一昨日と何も食べてないしすごくお腹が空いている。
そういえば経鼻カテーテルが入っていないのだ。
昨年は手術中の麻酔が効いている時に入れられ、目が覚めると喉の異物感が半端なかったのだが、今回は何回かチャレンジしたが入らなかったらしい。
術後の腫れが酷いせいだろうか。
おかげで気分が悪かった昨日、一昨日とは鼻はスッキリした状態でちょっとでもありがたかったわけだが。
どうせ吐き気で胃に栄養を入れるなんてこともできなかっただろうし。
しんどくて横になっていると、経鼻カテーテルを入れるので診察室まできて欲しいと先生から呼び出された。
さすがに歩いて行くのは無理だと言うと車イスを準備してくれた。
集中治療室からの移動はできたのだし、診察室までいけるはず。
ヘルパーさん人に押してもらって、診察室の方へ。
前の人の診察中のようで診察室の前で少し待つことになった。
この待ち時間がけっこうしんどかった。
痰も絡んでくるし、熱で体はだるいし。
ようやく先生に呼ばれると、まずは気管につけているチューブを変えるという。
変えると、初めのものより細くはなるが、しゃべることができるようになるらしい。
胸のところをいじられ、ゲホゲホしつつ付け替えてもらった。
前のものより息をするのも少し楽なような気がした。
それから経鼻カテーテルの挿入である。
起きている状態で経鼻カテーテルを入れるのはかなりきつかった。
しかも喉元で引っかかってしまうらしく、「できるだけゴクンと飲み込む動作をしてみて」と言われて、オエオエ言いながら何度も嚥下するようにがんばった。
そもそも嚥下も手術前のように思ったようにはできなくて、必死にがんばった。
ようやく入り、昨年と同じ60cmで留めてもらった。
念のためちゃんと入ってるかの確認のためレントゲン撮影が必要だと言う。
今度はレントゲン室へ移動、なんとか撮影も終えて病室に戻ってきた。
一仕事終えたと思って部屋で少し休んでいると、再び先生から呼び出しがかかった。
どうやら経鼻カテーテルが少し入りすぎてるという話だった。
さすがに看護師さんに深さを変えてもらうのはダメらしく、また診察時間中のため、先生が病室に来ることも難しいようだ。
ということで、再び車イスで診察室へ移動。
なかなかの体のダルさを感じながら、さっき以上に前の診察で待たされた。
診察室では先生にサクッとカテーテルを5cm抜いて55cmの位置で留めてもらい再びレントゲン室へ。
またレントゲンを撮って病室へ戻ってきたら、もうこの日は全てをやり切ったような気分だった。
もう一度呼び出されるのはさすがに嫌だなと思っていたら、それはなく、昼頃に経鼻カテーテルから白湯を流された。
全くものがなかった胃に水が満ちていくだけで、身体中が喜んでるような気がした。
昼は慣らしとして白湯だけらしい。
夜から少しずつ栄養を入れていくことになるそうだ。
その後は妻が面会に来てくれた。
舌を半分くらい切除しているのですもちろん普通には喋れないが、筆談も交えつつ声でも会話できたのが嬉しかった。
次はリハビリである。
昨日はベッド横に立って、10歩足踏みするだけで脈拍が140オーバーになりなかなか落ち着かなかったため、すぐに終わった歩行のリハビリだが、今日は点滴台を支えにしながら、廊下の1/4ほどを歩くことができた。
体を動かすリハビリのメインは手術で切ったり縫ったりした首を伸ばしたり肩を伸ばしたりすることであるが、主治医の先生からのOKがでておらずいまのところあるくだけである。
歩行を見てくれたリハビリの先生が帰ったあとしばらくすると今度は舌のリハビリの先生がきた。
言われた通り発音してみたり、「あー」と長く声を出してみたり、舌を前に出そうとしたり、左右に動かそうとしてみたり、思ったよりきつかった。
何より舌が前にも左右にも全く動かなかった。
舌のリハビリも終わったら、しばし休憩。
吐き気がおさまった途端、なかなかハードである。
横になっていると夜の経鼻カテーテルからの栄養が開始された。
全部流れるのに2時間くらい、上体を起こしておかないといけなくて、ただただ待つというのもなかなかしんどかった。
そして、昨年この経鼻からの栄養が始まった途端、ずっと下痢だった。
今回はその事実があるのではじめから少しゆっくり目に入れてもらった。
今回は1回目の経鼻栄養後に一度便がでた。術後初の便でさすがに下痢ではなかった。
多分、最後に食べた鯖寿司やローストビーフや梨、柿、シャインマスカットたちである。
気管のチューブが変わっても相変わらず痰はよく絡み、たびたび吸引をしてもらう。
その都度オエオエなり、最終的に看護師さんの手を持って止めてしまった。
そこで「口から痰を吸引するのは自分でやりますか?」と尋ねられ、二つ返事でやりますと答えた。
自分でやっていいか先生に確認してみてくれると言う。
無事、先生からのOKもでて、ベッドの横の吸引機を触れるようにしてくれた。
これで看護師さんは15分〜30分おきにナースコールで呼ばれず、私も自分の加減でなるべく嗚咽せず痰の吸引ができるようになるわけだ。
とてもありがたい提案だった。
そんなこんなで2日目もほとんど眠れない長い夜を過ごすのだった。